この方法では、マトリックスを測定元素から分離することができるので、分子イオンによる干渉を避けたり減感の影響を低減することができます。また、形態別分析をするにも有効です。
イオンクロマトグラフィ(IC)、液体クロマトグラフィ(LC)、キャピラリー電気泳動(CE)などが適応できる分離手法です。
分析対象サンプルや目的成分、元素に応じて分離カラムの選択や、分離に適し、かつICP-MSICP-QQQにも導入可能な溶離液を工夫する必要があります。以下に要点を説明します。
多くの元素は、溶液中で単独あるいは化合物の状態で陽イオンあるいは陰イオンとして存在します。したがって、ICを用いてイオンを分離することができます。一般的なICの溶離液流量は 1 mL/minであり、これはICP-MSICP-QQQのサンプル導入量と似通っているので、両者の接続は比較的簡単です。しかし、溶離液によってはインターフェースやトーチを閉塞したり減感を起こすことがあるので、分離カラムと溶離液の選択が重要です。
LCでは一般的に溶離液として有機溶媒が用いられますが、インターフェースやトーチの閉塞あるいは減感の原因になるため、注意が必要です。また、緩衝剤としてよく用いられる燐酸もICP-MSICP-QQQにとっては困難なサンプルとなるため、ICP-MSICP-QQQ用の溶出条件の検討が必要です。
他のクロマトグラフィ技術に比べてCEの分離能力は非常に高いですが、CEの溶離液流量(約数十nL/min)はICP-MSICP-QQQのプラズマへの導入量(数十 μL/min)と比べて 1/1000 と低く、その結果、感度も低くなります。
将来的には酵素やタンパク質の形態別分析に重要な手法になると思われます。