定量

 

MassHunterでは、繰り返しデータごとに強度比を求め、それを平均したものを最終的に強度比として使用しています。

 

内標準

検量線テーブルで内標準が選択された場合、サンプルデータの求める元素のカウントは、サンプルデータの内標準濃度とそのカウントの比で割られ、y を算出します。検量線における最初のレベルの濃度が、サンプルデータの内標準濃度に選ばれます。

y=ys/(yi/xi)(xi=0 の時、y=ys

ここで

xi: 検量線における最初のレベルの内標準元素の濃度

yi: 内標準元素のカウント

ys: 測定元素のカウント

この値  y  は、「濃度の計算」において使用されます。

濃度の計算

サンプルデータの測定元素の濃度は次のように計算されます。

ここでは、

x: 測定元素の濃度

y:測定元素の測定カウント

a: 検量線の係数 “a”

b: 検量線の係数 “b”

c: 検量線の係数 “c”

  1. y = ax
  2. icpmsOpe-16-08-43.png 

  3. y = ax + b
  4. icpmsOpe-16-08-44.png 

  5. y = ax2+ bx
  6. icpmsOpe-16-08-45.png 

  7. y = ax2 + bx + c
  8. icpmsOpe-16-08-46.png 

  9. log y = a (log x) + b
  10. icpmsOpe-16-08-47.png 

  11. y = ax + b + bkg (Standard Addition)
  12. icpmsOpe-16-08-48.png 

  13. y = ax + [blank]

    icpmsOpe-16-08-49.png 

    ここで

    blk: ブランクのカウント

濃度の標準偏差

直線回帰が使用されるとき、標準偏差(SD)は次のように計算されます。

icpmsOpe-16-09-51.png

n: 繰り返し回数

xi: 濃度

DL

DLとは、3sBに相当する濃度です。

検量線の式に応じてDLの計算式は異なります。

y=ax+bなどの一次式を利用している場合は、

DL=3sB/a

ここで、3sB:濃度 0 のレベルのカウントの標準偏差の 3 倍

a :y=ax+b の a

単位は検量線で設定されているもののまま、変更しない

VIS 補正の補間式

最新の検量線と現在のサンプルデータで使用されるすべての内標準の変更率が計算されます。現在のデータの内標準の濃度は、既存の内標準補正と同様に、検量線のレベル 1 の値が使用されます。「一次式」または「二次式」の場合、すべての内標準の変更率から 1 つの補正式を作成します。「区間補間」の場合、2 つの内標準ごとに補正式を作成します。

Illust_00009_A.png 

ここで

Cps_ci, Conc_ci : 検量線を最後に更新したデータの、内標準のCPSと濃度

Cps_si, Conc_si : 現在のサンプルデータの内標準のCPSと濃度(濃度は検量線レベル 1 に設定されている値を使用)

区間補間(Y = aX + b 隣接する 2 つの内標準を使用。デフォルト)

一次式(Y = aX + b すべての内標準を使用)

icpmsOpe-16-11-55.png 

ここで

Mi : 内標準の質量数

n : 内標準の数(「区間補間」の場合は 2 つ)

Ri : 標準液データとサンプルデータ間の内標準のCPSの変更率

Ma : 定量する元素の質量数

Ra : 定量する元素のCPSを補正するVIS補正係数

二次式(Y = aX2+bX+c  すべての内標準を使用)

icpmsOpe-16-11-56.png 

ここで

Mi : 内標準の質量数

n : 内標準の数

Ri : 標準液データとサンプル間の内標準のCPSの変更率

Ma : 定量する元素の質量数

Ra : 定量する元素のCPSを補正するVIS補正係数

icpmsOpe-16-11-57.png 

VIS補正係数で、定量を行う元素のCPSを補正します。

Cps_na = Cps_sa×Ra

ここで

Cps_na : 定量を行う元素の、補正後のCPS

Cps_sa : 定量を行う元素のCPS

Ra : 定量を行う元素のCPSに対するVIS補正係数

レアアース二価イオン補正

Xによって干渉された信号は、次のように計算されます。

icpmsOpe-16-11-58.png 

ここで、A(µ)はµの存在値、M(µ)はµの信号、miはXのM ++のm / zです。µは干渉元素の同位体です。

係数 Reference00593.png は以下のように定義されます。

icpmsOpe-16-11-59.png 

そして、icpmsOpe-16-11-60-1.png は、次のように計算されます。

icpmsOpe-16-11-60-2.png 

干渉信号 icpmsOpe-16-11-60-3.png は、次のように計算されます。

icpmsOpe-16-11-61.png 

各パラメータは下表の通りです。:

75 Asの補正

78 Seの補正

66  Znの補正

X

M++

存在比

X

M++

存在比

X

M++

存在比

Nd

m3: 75

5.6

Gd

m3: 78

20.47

Ba

m3: 66

0.1

m2: 72.5

8.3

m2: 77.5

14.8

m2: 67.5

6.59

Sm

m3: 75

7.38

Dy

m3: 78

0.06

 

m2: 73.5

14.99

m2: 81.5

24.90

この補正は、定量分析にのみ適用されます。半定量分析やその他の分析モードには適用されません。