データ測定パラメータ

半定量

半定量分析は未知サンプルの概算濃度を得るための方法です。MassHunter Workstationにはあらかじめ各元素の感度係数が登録されていますが、装置の感度やチューニング条件により変化するので、毎回感度係数の補正を行うことお勧めします。通常は 10 ppbのチューニング溶液を用いて感度係数の補正を行います。

半定量を実行すると、以下の手順で同位体比や分子イオンによる干渉をチェックした後で結果が出力されます。

  1. 目的質量数の信号(Sとする)と [半定量パラメータ] で設定した [最小認識ピーク] を比較します。Sが最小認識ピークより小さい場合は、“検出されない” と出力されます。それ以外は、次のステップに移ります。
  2. (バックグランド減算を指定している場合。していない場合は次のステップヘ。)バックグランドを差し引いた後のSが、バックグランドの信号の 3%以上かどうかチェックします。小さい場合は濃度が計算され、定量結果出力パラメータをONにした場合のみ、エラーの可能性の表示と共に出力されます。それ以外は、次のステップに移ります。
  3. (目的元素の全同位体を測定している場合。していない場合は次のステップヘ。)目的元素の同位体比と天然同位体比の差をチェックします。±10%以内なら濃度が計算され、出力されます。それ以外は次のステップに移ります。
  4. 目的元素の質量数をMとした場合、S/M-16 の信号(酸化物イオンの干渉)、S/M-1 の信号(水素化物イオンの干渉)、S/Mx2 の信号(2価イオンの干渉 )をチェックします(チェックAとする)。S/M-40の信号(アルゴン化物イオンの干渉)、S/Mx0.5 の信号(ダイマーイオンの干渉)をチェックします(チェックBとする)。

    チェックAですべて 1%以上、チェックBですべて 0.1%以上の場合、濃度が計算され、出力されます。チェックAで 1%以下、チェックBで 0.1%以下のものがある場合、濃度が計算され、定量結果出力パラメータをONにした場合のみ、干渉の可能性の表示と共に出力されます。

定量結果出力パラメータにおいて出力方法を判断します。ONの場合、結果はすべて出力されます。OFFの場合には出力されません。AUTOを選択した場合には干渉の影響を受けている可能性がある元素は出力されません。

 

半定量で使用する質量数は [半定量パラメータ編集] の中で変更することができますが、感度係数はそれに伴って自動的に変更されないので、同位体存在比に応じて感度係数を入力しなおします。

半定量では 1 マスの中で最大の信号だけが代表として用いられます。したがって、半定量レポート中のカウントと [スペクトル] の [カウント値一覧(元素毎)] の結果は異なります。

 

定量結果の検証

定量結果が正しいかどうかを確認するには次の方法があります。

US EPAのMethod 6020 (CLP-M) はこれらすべての方法を使用しています。

ブランク減算とバックグランド減算

ブランク減算は得られたサンプルの定量結果からブランクの定量結果を差し引きする機能を持ちます。したがって、定量分析あるいは半定量分析で濃度の減算を行うのに用いられます。

バックグランド減算はスペクトルの差し引きを行うもので、定性スペクトルの解析に用います。

 

繰り返し分析を行ったデータにバックグランド減算を適用すると、個別のデータがバックグランドの平均値で減算されます。したがって、同じデータでバックグランド減算をしても 0 にはならないことがあります。