高安定性モード(ESM)は、レンズパラメータを調整し、連続的な高マトリクス負荷に対する信号の安定性を向上させます。
チューニング溶液:チューニング溶液は、日常的に行われるICP-MSの一般的なチューニングに使用される溶液です。これは通常、複数元素を 1ng/mLから 10 ng/mLの濃度で含みます。
コンディショニング溶液:
コンディショニング溶液は、分析対象の分析用サンプルの成分と似た成分をもつ高マトリクス物質を含みます。製法は分析用途によって異なります(用途によっては内標準溶液も必要になります)。
ESMは、高マトリクスサンプル、コンディショニング溶液の導入が短時間(ca. 30分)必要です。コンディショニング溶液は、サンプリングコーンとスキマーコーンを整え、高マトリクスサンプルの負荷によって発生する信号のふらつきを減少させます。この溶液の導入中、ESMはさまざまなレンズ電圧設定で感度の変動を監視します。感度の変動は分析され、もっとも感度が高くなるチューニングが採用されます。
上述の溶液を準備し、ICPをオンにしてスタートアップシーケンスを完了させます。
[設定] ダイアログボックスの [オプション] - [機能] の [高安定性モードの有効化] をオンにします。
コンディショニング:コンディショニングは、ダッシュボードペインから実行し、その結果はシステム共通パラメータとして保存されます。ダッシュボードペインで、ICP-MS アイコンを右クリックし、[コンディショニング設定] ダイアログボックスを表示します。[ペリポンプ] を設定し、ターゲットアプリケーションを選択した後、[キューに追加] をクリックします。自動的にコンディショニングシーケンスが始まります。
バッチ設定:ESMを利用できるバッチは次のようにして準備します。[バッチ測定の設定] ダイアログボックスを開き、[高安定性モード] からモードを選択します。チューンモードペイン上の左側のフレームにある [プラズマモード] から、利用するプラズマモードを選択します。
設定シーケンスは次のようなケースで実行します。
ESMについては次のような考慮事項に留意してください。
サンプルコーンまたはスキマーコーンに不具合がある場合、ESMは正しく機能しません。
サンプルコーンやスキマーコーンが新しくなった場合、状態が安定するまで信号のふらつきが大きくなります。
オートサンプラの利用を強く推奨します。
現在の状態では、ESMは限定されたアプリケーションでのみ利用できます。
ここでの「安定性」という言葉は、機器が安定して動作するチューニング条件のことで、高マトリクスに対して正確な分析ができます。