レーザーアブレーション装置を本装置と組み合わせると、固体サンプルを直接分析できます。
レーザーの結合特性は材料によって異なるため、定量を行う場合には、サンプルに似ているマトリックスの標準試料を用いることをお勧めします。
ICP-MSICP-QQQには以下に示す主要使用条件があります。
サンプル表面からの粒子移動を効率よくプラズマに導入するために、レーザーセルにはヘリウムガスが導入されます。ヘリウムは、オプションのマスフローコントローラを使って本装置から制御できます(sシリーズでは標準装備)。
プラズマのセンターチャネルを維持するため、プラズマにはさらにアルゴンガスが必要です。そのため、レーザーアブレーションセルの後段で、ヘリウムガスにアルゴンガスが混合されます。
本装置の背面にあるAPGリモートインターフェース(レーザーのトリガーに接続)を使って、リモートトリガを行えます。
レーザーアブレーションを使用する場合には、[設定] ダイアログボックスの [サンプル導入] で、[LA] を選択します。冷却スプレーチャンバ機能は、OFFに自動設定されます。
外部からのリモート信号で測定を開始することができます。リモート信号を使うか使わないかは、ダッシュボードペインのサンプル導入のイラストを右クリックして表示されるコンテキストメニューで、[リモートシグナルの設定] を選択して表示される、[リモートシグナルの設定] ダイアログボックスで設定します。
レーザーの位置決め、ウォームアップ、プレアブレーションを行うと便利です。
レーザーアブレーション-ICP-MSICP-QQQで感度確認する質量例としては、低質量から高質量までの範囲(たとえば 43、88、137、232、238)、ThO/Th比(248/232)、およびTh:U比(232/238)を用いることができます。レンズのチューニングは、ソフトエクストラクションモードによく似ています。
Th:Uは、セルを通過するガス流量とプラズマ内のガス流量の両方(いずれも酸化物としてのもの)に影響されます。ThO/Th比は一般にアルゴンガス(キャリア)の流量で設定され、Th:U比はヘリウムで制御されます。照射スポット周辺のたい積物(ときどき見えにくいことがあります)が消えている、またはU=Thになっていれば、へリウム流量が正しく設定されています(NIST標準サンプルでは、ウランとトリウムの濃度はほぼ同じです)。
トーチの位置は非常に重要です。微小な調整で大きな差が生じます。
装置の設定:
P/Aファクタ:P/Aファクタの設定には、少なくとも 3 分間のラスタースキャンが必要です。その際、チューニングウィンドウ(0.1 秒)の中に、56,000 count/0.1sec以上の信号があるようにします。P/Aファクタは、EM電圧が変更されるごとに再調整が必要です。
測定モードは時間分析、あるいはスペクトル分析です。
レーザーアブレーションによるサンプルの定量化には、2 種類のドリフト要因(レーザーとICP-MSICP-QQQ)があるため、常にドリフトを補正します。試料の主要元素を内標準として用いることができます。データ測定例として、ガスブランク(レーザーを照射しない状態)、標準試料(レーザー照射)、サンプル(レーザー照射)、標準試料(レーザー照射)、ガスブランク(レーザーを照射しない状態)の順に行う方法です。ドリフトが線形であると仮定し、標準試料と標準試料の間で分析するサンプルは 10 個以内であることを推奨します。
MassHunter Workstationのデータ解析部分には時間分析の場合、時間分析データの積分値が表示されます。収集時間に比例するため、積分範囲(停止時間~開始時間)はすべてのデータ収集に対して一定とします。積分ウィンドウが正しく設定されていれば、適切な比例データが正確に収集・報告されます。
レーザーアブレーションのデータ解析には、「100%規格化法」を利用できます。次のように操作します。
[100%規格化法の設定] ダイアログボックスが表示されます。